日本における石造り参道狛犬には3つくらいルーツがあるように思います。
宮中で始まった神殿狛犬(木製や金属製などで阿像は獅子、吽像は角ありの狛犬というもの)はもちろん1つのルーツですが、そうした「正式な」?狛犬を見たことがない庶民や村石工たちは、「こまいぬというものがあるらしい」という伝聞情報を頼りに素朴な狛犬を造り始めました。
これを狛犬ファンは「はじめ狛犬」(さらには愛情を込めて「はじめちゃん」)と呼んでいます。
他にも、「はじめ」タイプには分類できなくとも、素朴さで惹きつけられる狛犬はたくさんいます。ここでは狛犬探索を始めた初期に出会った「素朴な狛犬」をいくつか紹介します。まだデジカメもなかった時期のものですので、画像が粗いのはご容赦を。
茨城県北茨城市花園神社の三対あるうちのいちばん小さな狛犬。ウーパールーパーみたいなひょうきんな顔ですが、風化して表情がぼけてきているのが気がかり。江戸時代、それもかなり古いものだとは思いますが、まったく分かりません。初めて見たのは1986年元日ですから、今ではもうただの石の塊のようになっているかもしれません。
■Data:花園神社(茨城県北茨城市華川町花園)//ο建立年月など不明。ο撮影年月日・1986年1月1日、1998年1月6日。
盛岡市の天満宮にいる、通称「啄木狛犬」。
石川啄木が「夏木立中の社の石馬も汗する日なり君をゆめみむ」と詠んだことで有名になった素朴な狛犬です。高畑源次郎の作と伝えられ、昭和8年に台座の上にのせられたと記録されていますが、造られたのはもっと前でしょうか。
この神社、
隣のキツネも面白く、他にもいろいろ不思議な石の置物があります。
■Data:盛岡天満宮//ο製作年代不明。ο石工・高畑源次郎(伝)
これは典型的な「はじめちゃん」。もう、どこから見ても「素朴」としか言いようがありませんね。このタイプの狛犬は社殿の軒先などにポンと置かれていることも多く、盗難が心配です。なので、神社名は伏せておきましょう。

↑伊豆白浜神社の階段にいる小さな狛犬。これは素朴というよりは、ちびでも頑張っている狛犬。はじめタイプとは別のものです。
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