謎のベルリン狛犬の巻




 まずは、以下の写真をご覧ください。
ベルリン日本大使館狛犬

 狛研の会報・「狛犬の杜」に掲載された「謎のベルリン日本大使館狛犬」がこれである。
 記事を読んでいないかたのために説明すると、2001年3月3日付朝日新聞夕刊に、ベルリン日本大使館が改修されたという記事が載っていた。第二次大戦中の建物を改修・増築して56年ぶりに復活させたものだとか。
 で、その写真のキャプションに「右側は大使公邸の入り口で、狛犬は戦前のままだ」とあるではないか。
 これを見つけた我らが阿由葉編集長、さっそく朝日新聞社に問い合わせ、この狛犬を見たい、知りたいと直訴。
 しかし「狛犬だけを大きく撮った写真はありませんし、専門的な詳しい情報は持ち合わせておりません」とのつれない答え。そこで引き下がる編集長ではない。次に、当のベルリン日本大使館へメールを送った。
 待つことしばし、写真と共に、待望の返事が来た。
 それがこの写真なのだ!
 大使館からの返事によれば、

この狛犬が第二次世界大戦の前、旧大使館の建物が当時の政府によって建てられた時には既に飾ってあったということです。
恐らくドイツ人の手によって制作されたものと思われますが、どのような経緯で、またどのようにして作られたのか、全くわかりません。
内輪の話ですが、館員の中には、石を彫ったのではなく、コンクリートを型に流し込んで作ったのでは!?という見方をする者もあります。全く無知でお恥ずかしい話です。

 とのこと。
 下から見上げた写真を見ると、確かにコンクリートのような気もする。

拡大 

 しかし、コンクリート製だったら、もっと形が崩れているようにも思う。石工が彫ったものだとしたら、なかなかの大発見。
 左右がほぼ同じ形なので、分類的には「獅子」。だが、中国の獅子ともちょっと雰囲気が違うし、言われてみればゲルマンっぽい?
 果たして現地でヨーロッパ人が彫ったものなのか? それとも国外で製作されて持ち込まれたものなのか?
 海外のドラマなどを見ていると、富豪の家の門に、こんな狛犬(?)が置かれているのが映っていることがある。欧米人のオリエント趣味なのだろうか。
 いずれにせよ、想像力をかきたてる「狛犬」ではありますね。

     (写真提供:在独日本国大使館広報文化班)
続報
 ベルリン日本大使館から、さらに返事が来たそうです。

貴HPを見せて頂きました。あのように当館狛犬をご紹介頂き、なんだかとっても嬉しくなって、あの日の午後は辺りを通りかかった館員を片っ端から捕まえて、皆一緒に貴HPで狛犬の勉強をしてしまいました。
ところで、最近になってあの狛犬作成者の氏名が判明致しました。ロベルト・エルスター(Robert Elster)という者だそうです。どのような人物で、何を元にあの狛犬を制作したか、その辺りは全くわかりません。貴研究会の推測通り、「ゲルマン系」であったというわけですね。
私の目には何気ない飾り物のように映っていた狛犬が、阿由葉さん及び貴研究会のおかげで、今は由緒正しい「ゲルマン狛犬」として、なかなか立派な守り神に見えてきました。いつか、是非、日本参道狛犬研究会の皆様に見に来て頂きたいと思います。どうもいろいろとありがとうございました。


 ロバートさん作でしたか。やはりゲルマン狛犬(?)だったのですね。
 純粋な狛犬とは言えないかもしれませんが、建物を守護する意味合いで作られているのでしょうから、やっぱり「狛犬」の仲間でしょう。そういうことにしておきましょう。
   (2001/7/25 阿由葉編集長よりリポート)




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