2003年版南福島狛犬探訪その5

このへんでそろそろ日が傾いてきました。
途中、あまりに道が狭く、雪も積もっていて諦めた神社がいくつかありましたが、とりあえず、狛犬はいなさそうなものの、石川町の石都都古別神社に向かいました。
町役場の裏側にある山全体が神社の境内みたいなものだというのはWEBで読んでいたのですが……。
うわぁああああ……! いきなり出迎えてくれましたよ。

石都都古別神社

道から横を見ただけで、いたぁ! と思わず絶叫。
石都都古別神社

石都都古別神社の吽  石都都古別神社の阿

遠目にもはっきり分かる独特のフォルム。これは間違いなく小林和平!
しかし、場所がなんだかせせこましいですね。きっと、建立したときはもっと広々していたんでしょう。
それにしても、これだけの狛犬がいるのに、なぜ誰も報告していないんだろう。改めて、狛犬は無視される存在なのだと分かりました。
石都都古別神社 阿の顔

大きさは古殿八幡と同じくらい。かなり巨大なほうに入ります。
いわゆる獅子山ですが、とにかく仕事が細かい。この阿の顔、見てください。質感が他の狛犬と全然違います。
歯のひとつひとつ、鼻の穴の縁までていねいに彫り込んでいます。
下は阿を裏側から見たところ。石でできているのに、肉の弾力性まで伝わってくるかのようですねえ。
脚なんか、よくもまあ、こんな風にデザインしたもんです。発注した人も驚いたでしょうね。
え? ちょっと、小林さん、本気ですかぁ? なんて、おろおろしたんではないかしら。
この奔放な創造力。恐れ入ります。
石都都古別神社 阿の裏 石都都古別神社 吽の脚
吽の脚なんかもよく見てください。足の裏が空を向いてますねえ。元気というかなんというか。
吽には子獅子が3匹まつわりついているんですが、これがまたすごい。普通、子獅子はいい加減に彫られていますが、小林和平は違うんですね。子獅子も手を抜きません。
子獅子
母親と一緒にこっちを向いているやつが1匹。親と並んでも、緻密さは同じ。見てください。歯はもちろんのこと、口の中の舌までしっかり彫り込んでいます。
子獅子

こっちは腹の下でじゃれているもう2匹。表情が実に豊かです。子獅子のたてがみの先まで、細かな鑿使いで、本当に見れば見るほど驚嘆します。
子獅子


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