2003年版南福島狛犬探訪その4
平沼ノ内諏訪原の諏訪神社は前回報告済み。記憶になく、再訪しても思い出せませんでした。
八剣神社(いわき市平下高久)昭和3年。平凡。佐麻久嶺神社には平成13年のぴかぴかのやつが。これも省略。
子鍬倉稲荷神社
いわき市市街に入り、子鍬倉稲荷神社というのを訪ねました。ここにいたのはこんな狛犬。
この狛犬には、戦争にまつわるドラマがありました。
金剛狛犬を昭和19年に供出。27年に再建したとあります。
台座には、初代の建立(昭和11年)のときの奉納者一覧もそのまま残されていました。
で、再建時のメンバーも並んでプレートがはめ込まれているんですが、そこに「石工 山野辺大五郎」の名前を発見。
そう、両諏訪神社にある、沼之内弁財天コピー狛犬を彫った石工です。
両諏訪神社のコピー狛犬が大正14年(1925)、この再建狛犬が昭和27年(1952)年ですから、あのコピー狛犬の27年後に刻んだことになります。
ということは、コピー狛犬を彫ったときはかなり若かったはず。若いとき、先祖に思いをはせて安永年間の狛犬を忠実にコピーして、老年になってからは、戦争で失われた狛犬の復活に尽力したわけですね。
生涯を狛犬復興のために捧げた石工・山野辺大五郎! 素晴らしいですね。
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■Data:子鍬倉稲荷神社(福島県いわき市平):
ο建立年月・昭和27(1952)年4月再建(供出したオリジナルは銅製で昭和11年建立)。ο石工・山野辺大五郎。
ο撮影年月日・2003年1月22日。
諏訪神社(田村郡小野町上羽出庭)
いわき市街を出て、ひたすら49号を北上。
思っていた通り、パッとした狛犬は見つかりません。というか、そもそも神社が非常に少ないですね、このへんは。山の中だしなあ。
途中、雪もちらつき始めました。
小野町の諏訪神社には、奉納者が「在朝鮮」という狛犬がいました。
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雪の中の狛犬。ああ、寒い。ほんと、車の外気温度計はずっと零下をさしていました。
■Data:諏訪神社(福島県田村郡小野町上羽出庭):
ο建立年月・昭和13(1938)年9月30日。ο寄進者・在朝鮮吉田巳代馬。ο石工・大堀末吉、常恒徳重。
ο撮影年月日・2003年1月22日。
管松大明神
長い石段があると、ああ、これを登っても狛犬はいないんだろうなあと思うんですが(狛犬は重いですから、高いところにはあまりいませんよね。持ち上げるの大変だもん)、たまに、苦労して登ってきてよかったなと思える狛犬が待っていてくれます。
この神社がそうでした。まったく期待していなかったんですが、いましたねえ、立派なのが。
阿は、右耳が欠けているように見えますが、よく見ると欠けているのではなく、寝ているんですね。
この狛犬の美点は、彫りが深いこと。南福島の狛犬は技巧派が多いんですが、これもそうですね。見てください、この巻き毛。
■Data:管松大明神(福島県石川郡平田村永田):
ο建立年月・昭和14(1939)年10月9日。ο奉納者・宗像金吾。ο石工・須賀川町 鈴木勝治。
ο撮影年月日・2003年1月22日。
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