北栃木狛犬めぐり2



西郷神社

大田原市の南西、国道461号線沿いに西郷神社というひっそりした神社があります。
これは山田さん情報がなければ確実に見落としていた神社ですが、大田原市を訪れたら必ず脚を伸ばしてみたい神社です。
西郷神社。入り口から本殿を臨む
こんな感じの神社です。国道から脇道(測道?)をちょっと入ったところで、そこだけがこんもりした林になっています。
変な顔の狛犬が出迎えますが、まず目につくのは、参道奥にあるなにやら怪しげなシルエットです。石碑のようにも見えますが……↓

西郷神社の奥に見える怪しいシルエット
それは後回しにして、まずは狛犬です↓ 頭をスパッと真横に切ったような爬虫類顔(あるいはギャオス顔?)。石材を最大限に使いたかったのでしょうかねえ。
 
 西郷神社吽の顔
基本的には江戸の様式を踏襲していると思いますが、顔は、その後、戦時色を強めていく時代に流行った爬虫類系ですね。
で、この神社、じつは狛犬もさることながら、本殿がすばらしいのです。さっき見えていた怪しいシルエットは、石造りの本殿だったのですね。↓

西郷神社本殿
正面から見るとこんな感じです。ものすごい存在感。横に回ってみると、様々な彫刻が施されていることが分かります↓
西郷神社本殿
    
石造りの社殿というのも珍しいですが、これだけの彫刻が施されているのは注目に値します。しかし、市の文化財指定も受けていないようです。建立が明治36年と新しいせいかもしれませんが、石造りの狛犬はもちろん、こうした手彫りの石造物は今後、コスト面、石工の質などから考えても造れないでしょう。早く文化財指定をするべきではないでしょうかねえ。
<<2004.3.26 追記>>
この社殿、石工名を見逃していましたが、山田敏春さんの調査では「小松布孝 布行 敬作」と刻まれているそうです。小松布孝・布行というのは、福島県石川郡浅川町福貴作の名工・小松寅吉布孝(のぶたか)と小松亀之助布行(のぶゆき)父子のことです。小松寅吉は小林和平の師匠であり、和平は12歳くらいで弟子入りしているそうですから、この社殿を建立したときは弟子入り後10年で22、3歳くらい。和平も制作チームの一員として鑿をふるっていたのではないでしょうか。
この社殿は、福島県白河市の新地山羽黒神社参道入り口にある寅吉の作品群と並んで、明治期の石の彫刻としては全国屈指の逸品であり、早く文化財指定をするべきです。
(追記)その後、自分の目でも銘は確かめました。寅吉が彫った石の社殿は他にもいくつもありますが、これは中でもよい出来です。
■Data:西郷神社
栃木県大田原市加治屋
狛犬:
ο建立年・大正11(1922)年8月18日。ο石工・不明。
本殿:
ο建立年・明治36(1903)年6月。ο石工・小松布孝 布行。
ο撮影年月日・04年2月19日。

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