千葉・茨城の名品珍品(五)


陰陽神社のウナギ犬狛犬

 茨城方面の狛犬に関しては木葉下(あぼっけ)さんの網頁が非常に充実しています。この陰陽神社のウナギ犬狛犬も、木葉下さんが教えてくれた情報を頼りに訪れました。
 神社の名前が陰陽神社で、御神体はよくある性器信仰の陽石(男根の形)、隠石(女陰の形)。となると、この狛犬もやはり男根をシンボライズしたものと考えるのが妥当だと思いますが、境内にあった説明板には高麗犬を彫ったものであるというようなことが書いてありました。
 狛犬は高麗犬とも書くことから、朝鮮半島から来たものという誤解があるようですが、実際には朝鮮半島はほとんど関係なく、オリエントから中国に渡り、中国大陸から日本に渡ってきた霊獣獅子狛犬の像がルーツです。江戸時代以降、庶民の奉納ブームと石工の想像力がユニークな狛犬を数多く生み出しました。高麗犬がダックスフントのような胴長短足であるという話も聞いたことがないので(私が無知なだけかもしれませんが)、どうもこの説明には疑問を抱いてしまいます。
 台座には?政十戌午年三月吉日と刻まれています。「政」がつく年号で10年が戌午なのは寛政で、なんと1798年。今から200年も前の狛犬ということになります。
 

 本殿は元禄年間に造営され、文政年間に修復。本殿の彫刻は文政2年に有志12名が奉納……という記録が残っているそうです。単なるきわもの狛犬ではなく、ちゃんと歴史があるというところが凄い。

(追記) この狛犬はその後、地震で倒壊したり片方が盗まれたりとさんざんな目にあったようです。この姿ではもう写真に撮ることはできなくなってしまいました。
 

■Data:陰陽神社(茨城県那珂郡山方町山方)//ο建立年月・寛政10年3月。ο撮影年月日・98年1月6日。



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