データベース作りを仕事にしているかみさんから「あ、それは素人の設計」と笑われてしまいまして、さらに修正しました。
 狛犬新聞「狛犬の杜」編集長・あゆはさんから「やはり神社単位のデータも必要ではないか」というご意見をいただきました(掲示板の111以降の一連のやりとり参照)。また、そもそもこのデータベース化計画を熱望していらっしゃる円丈師匠も、基本は神社単位で作り、将来的には水盤や鳥居などのデータも入れていきたいというご意向であることも分かりました。
 で、そうした神社単位のデータベースを作るためにも、最初から神社単位でデータベースを作ってはまずいということも分かってきました。
 データベース設計の基本は、「小さい単位に合わせる」ことと項目に入れる数値の単位を揃えることなのだそうです。最小単位である狛犬を単位にしたデータベースから神社ベースのデータは作れるが(高機能データベースソフトならその機能を駆使すれば簡単に副次的なデータができ、それを連動させることもできる)、その逆に、最初に神社ベースのデータを作ってしまうと、肝心の狛犬の統計ができなくなります。
 以上のことを考慮した上で、狛犬単位のデータベースに「狛犬のいない神社」も組み込むという方向で、修正版(第3版)を作ってみました。

雛形その3
市区町村コード(必須。5桁数字) 02341
神社コード(必須。新郵便番号+2桁数字) 036-134101
狛犬の有無と数(必須。2桁数字。いない場合は00。1対の場合は01) 01
狛犬番地(神社コード+狛犬の番号。番号は基本的に一の鳥居側から。必ず2桁表記。1対しかいない場合は01となる。狛犬がいない場合は空白) 036-13410101
住所(必須。郵便番号は省き、必ず県名から入れる。詳細不明な場合でも、必ず県名は入れる。まったく忘れた場合は「不明」と入れる) 青森県中津軽郡岩木町宮地
神社名(必須。後ろに識別用として町名などを入れる場合は全角括弧で。同一神社は表記を統一) 羽黒神社(岩木町)
建立年月日(和暦。年号数字は算用数字半角) 明治20年6月2日
建立年の西暦(半角数字。999年以前は頭に0をつける) 1888
石工 山内三次郎
寄進など 宮地村若社中 三上藤吉・宇三郎 他3名
素材
大きさ(極小、小、中、大、特大の5つ。区分けなどは前回のデータベース化計画参照)
記録年月日(年号は西暦下2桁) 97/7/19
分類 オリジナル?
一言コメント 八幡宮参道前の「犬顔」狛犬と同一作者。どちらも非常にユニーク。作家系のはしりか?
記録者 鐸木能光




 

●データ項目として、市区町村コードと建立年の西暦年号を加えました。
 


 市区町村コードというのは、通商産業省工業技術院が日本工業規格(JIS)として1970年4月1日に官報告示したもので、全国の都道府県・市区町村にふられたこのコード番号は、役所が発表する統計資料などに利用され、基本的にはすべてこの順番によって整列されているそうです。
 コードは5桁で表され、その構成は、最初の2桁が都道府県、次の1桁が郡または市、下2桁が各市町村固有の識別コードとなっています。
 郵便番号は北から順番に振られているわけではないので、ソートしたときに地理的順番で並んでくれません。そこで、このJISコードを併用することを考えました。
 このコードの最初の2ケタは都道府県を表すわけですが、北海道は01、沖縄県は47で、北から順番に並びます。  3ケタ目は郡か市を表わしています。つまり、

         3ケタ目が1なら東京都23区および政令指定都市
       2なら市
       3以上は郡か町か村

 新郵便番号と市区町村コードを一覧できるCSVファイルをご希望の方は、たくきまで連絡を。

 ●「狛犬番号」の名称変更


「狛犬番号」は狛犬さんに対して失礼ではないかという話があり、「狛犬番地」と名称変更しました(仮)。狛犬さんに番号を振るのではなく、あくまでも狛犬さんがいる場所に番号を振るという意味です。これなら失礼ではないかと……Θ_Θ;。

 

●住所の表示に郵便番号を入れるか入れないか?


 入れないほうが県別ソートなどに便利などで入れません。

 

●コード関連はすべて半角数字かハイフンのみで表記し、桁数を統一しました。


 ソートや併合など、データベースソフト上での処理がしやすいようにするためです。桁数が大きくなってしまったものもありますが、しかたないでしょう。

 

●データはCSVファイルで


 データはCSVファイルにして一か所に集め、結合させます。CSVというのは各データ項目を半角のカンマ(,)で区切り、次のデータとの間は改行で区切るという形式のテキストファイルです。つまり、パソコンがなくてもワープロでも作成可能です。
 上の表をCSVにするとこうなります。

市区町村コード,神社コード,狛犬の有無と数,狛犬番地,住所,神社名,建立年月日,建立年(西暦),石工,寄進者,素材,大きさ,撮影(記録)年月日,分類,一言コメント,記録者
02341,036-134101,01,036-13410101,青森県中津軽郡岩木町宮地,羽黒神社(岩木町),明治20年6月2日,1888,弘前石工 山内三次郎,宮地村若社中 三上藤吉・宇三郎 他3名,石,中,97/7/19,オリジナル?,八幡宮参道前と同じ作者,鐸木能光



 CSVファイルのいちばん上の行には、必ず項目名を入れます。
 では、次に各項目記入にあたっての注意事項訂正版です。
狛犬データベースサンプル
市区町村コード 02341
 ↑すでに説明しましたように、このコードでソートするのがいちばん美しい結果が得られるように思います。
神社コード 036-134101
 新郵便番号に二桁数字を01から加えていきます。同一郵便番号地域内に複数の神社がある場合は、住所の若い順(あるいは郵便番号簿に記載されている地域名の若い順)に01、02、03……と振ります。
●神社以外の場合、寺は50から、その他(路上や山頂など)は80から……。
 
神社名 羽黒神社(岩木町)
 ↑神社の名前は狭いエリアに同じものが複数存在することが多いので、紛らわしい場合はこのように括弧を使って町名を入れるなどして区別できるようにします。また、神社ではない場所に狛犬がいる場合も多々ありますが、その場合は、「○○山頂」とか、「○○町▲丁目路地脇」などと、分かりやすく簡潔に表記します。お寺の場合はもちろん寺院の名前がここに入ります。
狛犬番地 036-13410101
 ↑狛犬さんのいる場所のコードです。神社番号の末尾にさらに2桁加えた11桁になります。末尾の番号は原則として一の鳥居側から順番に振ります。1対しかいない場合は01を加えます。
 狛犬が参道入口にいて、それが山の麓にある(極端な例としては神社の本殿から数キロ離れている)場合なども、その参道が続いている先の神社に所属するものとし、神社番号に基づくものとします。神社と狛犬の場所が別の郵便番号になるような極端な場合は、住所欄には狛犬の所在地を記入し、終わりに( )付きで(神社とは別住所)などと書き込みます。
建立年月日 明治20年6月2日
 ↑建立年月日は和暦で書き込みます。台座の銘がほぼ100パーセント和暦であることから、正確を期して和暦表示にします。また、「昭和の狛犬」「明治年間の狛犬」といった検索をかけたいときにも、和暦のほうが便利です。和暦は必ず2バイト文字×2で表されるので、最初の全角3文字分は検出で桁が揃います。数字は検索しやすいように算用数字(半角1バイト文字)に直します。また、一桁年号は「明治01年」というようにして桁数を揃えます。「元年」とあるものは「01年」に直します。月日以下はそれほど重要ではないので、逆に辰巳など、台座に刻まれているままを記したほうが、個別の検証に役立つと思われます。
 ○月吉日などという表記のものについても、そのまま書いてもいいですし、月だけでもOKです。「旧8月15日」などと書いてあるものもありますが、これもそのまま書いてOK。要するに「年」以下の検索は諦めて、個別の検証に生かします。
建立年(西暦) 1888
 ↑建立年月日の西暦表示ですが、西暦と和暦では月によって年号がずれる場合があり、正確なデータにはなりにくいので、あくまでも目安です。数字は検索しやすいように算用数字(半角1バイト文字)で記入し、「年」は省略します。
石工 山内三次郎
 ↑石工名は必ずしもその狛犬を刻んだ石工ではなく、石屋の親方の名前であることも多いようです。そうしたケースを推測するためにも、この欄はなるべく書いてあるままに記録してください。「○○町 石工 山田寅吉」のように町名が入っていたり、「石工石佐」というような表記であったり、「山田寅吉作、石井松之助製作」のように分担が併記されているものなどさまざまですが、極力刻んである通りに記録します。
寄進など 宮地村若社中 三上藤吉・宇三郎 他3名
 ↑ここはあまりにも多すぎて書ききれない場合もあると思います。適当に省略しても仕方ないでしょう。寄進、願主、奉納、寄贈、などいろいろな表現で記されていますが、その文句を正確に記すかどうかは記録者に任せます。
素材
 ↑冒頭を「石」、「陶」(器)、「木」、「セ」(メント)、「ブ」(ロンズ)で始めてください。
 本当は「安山岩」「花崗岩」あるいは「小松石」など、正確に記したいのですが、石の専門家でも古くなって苔むした石の判定は難しいので、最悪の場合、単に「石」「陶器」「木彫り」などとしてもかまわないと思います。
明らかに種類が特定できるものも、「石(小松石)」「陶器(備前焼)」のように表記します(冒頭文字でヒットさせ、種類別の統計を取りやすいように)。
大きさ
 ↑もちろん正確に「高さ○センチ」などとしてもいいのですが、それは無理でしょうから、大まかに特大・大・中・小・極小の5つに分けてみました。大は高さが1メートルをはるかに超えるもの。中は50から1メートル程度。小は50センチ以下。一目見て、呆れるほどでかいものは「特大」、盗めそうなくらいΘ_Θ;ちいさいものは「極小」。
記録年月日 97/7/19
 ↑その狛犬を撮影した(記録した)日を、半角数字と半角スラッシュで。これは西暦で。
分類 オリジナル?
 ↑ここは非常に難しいと思います。いわゆる「円丈分類」でも、「江戸はじめ」「昭和」などはある程度分かりますが、それ以上はなかなか判別できないでしょうし、また、分類方法は個人によって差があってしかるべきだとも思います。とりあえずはご自分のやりかたでかまわないということにしないと、無理が出てきそうです。自分以外の研究者の分類法は、なんとなく推し量って想像するしかないですね。
 基本的なものは順次、表記を統一していきたいと思っています。
一言コメント 八幡宮参道前の「犬顔」狛犬と同一作者。どちらも非常にユニーク。作家系のはしりか?
 ↑印象やメモしておきたいことを短めに。なんでも結構。
記録者 鐸木能光
 ↑最後に記録者の名前を入れます。


 以上がたたき台その3です。
 神社単位のデータベースはこれを元にして(同じ神社コードを並べたものを項目として併合させるなどして)データベースソフトとして作り、そこに追加したい項目を入れていけばできますが、元データであるこちらにどうしても入れておきたい重要項目が抜けていると思われるかた、他にいいアイデアがあるかた、は狛犬掲示板に書き込んでいただけると助かります。

たたき台その1を見る
たたき台その2を見る
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