円丈師匠から、ぜひ狛犬研究者のデータを集めてまとめたいという強い要望がありまして、狛犬データベースのパイロット版を作ってみました。
 項目は多すぎると作業が大変だし、少なくいとデータベースの意味がない。何を入れて何を落とすかはとても難しいのですが、とりあえず下のようなフォーマットを考えてみました。
狛犬データベースサンプル
住所 036-1341 青森県中津軽郡岩木町宮地
神社名 羽黒神社(岩木町)
狛犬番号 036-1341A
記録媒体 PN(97-88)
建立年月日 明治20年6月2日
石工 山内三次郎
寄進者 宮地村若社中 三上藤吉・宇三郎 他3名
素材
大きさ
記録年月日 97/7/19
分類 羽衣変形?
一言コメント 八幡宮参道前の「犬顔」狛犬と同一作者。どちらも非常にユニーク。作家系のはしりか?
記録者 鐸木能光




 データはCSVファイルにして一か所に集め、結合させます。CSVというのは各データ項目を半角のカンマ(,)で区切り、次のデータとの間は改行で区切るという形式のテキストファイルです。つまり、パソコンがなくてもワープロでも作成可能です。
 上の表をCSVにするとこうなります。

住所,神社名,狛犬番号,記録媒体,建立年月日,石工,寄進者,素材,大きさ,撮影(記録)年月日,分類,一言コメント,記録者
036-1341 青森県中津軽郡岩木町宮地,羽黒神社(岩木町),036-1341A,PN(97-88),明治20年6月2日,弘前石工 山内三次郎,宮地村若社中 三上藤吉・宇三郎 他3名,石,中,97/7/19,羽衣変形?ユニーク!,八幡宮参道前と同じ作者,鐸木能光



 CSVファイルのいちばん上の行には、必ず項目名を入れます。
 では、次に各項目記入にあたっての注意事項です。
狛犬データベースサンプル
住所 036-1341 青森県中津軽郡岩木町宮地
 ↑このように、必ず新郵便番号(7桁)から書きます。この郵便番号が「狛犬番号」の基本になります。町名まで分からないような場合は、036-xxxxのように、下4桁を半角のエックス(小文字)で打ち込んでください。県名すら分からなくなってしまったデータは、仕方ないので全桁xで打ち込みます。
神社名 羽黒神社(岩木町)
 ↑神社の名前は同じものが多いので、紛らわしい場合はこのように括弧を使って町名を入れるなどして区別できるようにしてください。
狛犬番号 036-1341A
 ↑狛犬は一対で一つの番号とします。最初の数字はその狛犬がいる住所の郵便番号です。次のアルファベットは同一町内に複数の狛犬がいた場合に備えて識別符号です。複数の記録者が異なったアルファベットを振る場合がありますが、それは後日一つ一つ確認しながら決めるしかないでしょう。また、同一神社などに複数組の狛犬がいる場合は、このアルファベットの後ろにさらに1、2、3……と番号を振ります。この羽黒神社には狛犬が一対しかいませんが、2対いれば、036-1341A1と036-1341A2になります。末尾の番号は原則として一の鳥居側から順番に振ります。
記録媒体 PN(97-88)
 ↑記録媒体とは、写真やスケッチなど、狛犬を記録した媒体のことをいいます。ポジフィルムはP、ネガフィルムはN、スケッチはS、ビデオはVとします。複数ある場合はカンマなしで列記してください。
 また、写真の整理のために個人で独自の番号などを振る場合もあるでしょう。その場合は()内に書いてください。その人にしか意味のないデータですが、提出する際に削除するのも面倒でしょうから、このように処理します。
建立年月日 明治20年6月2日
 ↑建立年月日は原則として和暦で書き込んでください。というのは、西暦と和暦では月によって年号がずれる場合があり、正確なデータになりにくいからです。また、「昭和の狛犬」「明治年間の狛犬」といった検索をかけたいときにも、和暦のほうが便利です。
 ○月吉日などという表記のものはそのまま書いてもいいですし、月だけでもOKです。「旧8月15日」などと書いてあるものもありますが、こういう場合はそのまま書きましょう。なお、数字は検索しやすいように算用数字に直してください。
石工 山内三次郎
 ↑石工名は必ずしもその狛犬を刻んだ石工ではなく、石屋の親方の名前であることも多いようです。そうしたケースを推測するためにも、この欄はなるべく書いてあるままに記録してください。「○○町 石工 山田寅吉」のように町名が入っていたり、「石工石佐」というような表記であったり、「山田寅吉作、石井松之助製作」のように分担が併記されているものなどさまざまですが、極力刻んである通りに書いてください。
寄進者 宮地村若社中 三上藤吉・宇三郎 他3名
 ↑ここはあまりにも多すぎて書ききれない場合もあると思います。適当に省略しても仕方ないでしょう。寄進、願主、奉納、寄贈、などいろいろな表現で記されていますが、その文句を正確に記すかどうかは記録者に任せます。
素材
 ↑本当は「安山岩」「花崗岩」あるいは「小松石」など、正確に記したいのですが、石の専門家でも古くなって苔むした石の判定は難しいので、最悪の場合、単に「石」「陶器」「木彫り」などとしてもかまわないと思います。
大きさ
 ↑もちろん正確に「高さ○センチ」などとしてもいいのですが、それは無理でしょうから、大まかに大中小と分けてみました。大は高さが1メートルをはるかに超えるもの。中は50から1メートル程度。小は50センチ以下という目安です。
記録年月日 97/7/19
 ↑その狛犬を撮影した(記録した)日を、半角数字と半角スラッシュで。これは西暦で。
分類 羽衣変形?
 ↑ここは非常に難しいと思います。いわゆる「円丈分類」でも、「江戸はじめ」「昭和」などはある程度分かりますが、それ以上はなかなか判別できないでしょうし、また、分類方法は個人によって差があってしかるべきだとも思います。とりあえずはご自分のやりかたでかまわないということにしないと、無理が出てきそうです。自分以外の研究者の分類法は、なんとなく推し量って想像するしかないですね。
一言コメント 八幡宮参道前の「犬顔」狛犬と同一作者。どちらも非常にユニーク。作家系のはしりか?
 ↑印象やメモしておきたいことを短めに。なんでも結構。
記録者 鐸木能光
 ↑最後に記録者の名前を入れます。


 これはあくまでもたたき台です。重要な項目が抜けていると思われるかた、いいアイデアがあるかた、狛犬掲示板に書き込んでいただけると助かります。
狛犬かがみ全国書店にて発売中!
『狛犬かがみ A Complete Guide to Komainu』 全128ページ A5判 オールカラー(バナナブックス 2006年9月15日発売 1700円税込)
狛犬文化を体系的に解説・解明。全ページカラー。収録画像400点以上。日英両国語完全対応。日本が誇る狛犬文化・狛犬芸術の全貌を初めて全世界に発信! 詳細情報はこちら
アマゾンコムでの注文は→こちらから