2004年1月28、29日。秩父のオオカミ巡りに行ってきました。

三峯神社は狛犬の代わりにオオカミ像が多数あることで有名です。秩父にはオオカミ信仰(神犬信仰)の神社が十数社あると言われ、今は三峯神社がいちばん有名ですが、発祥は両神神社という説もあります。
『神社ウォッチング』(外山晴彦著、東京書籍)によれば、オオカミ信仰は秩父の山岳地帯で修行していた修験者たちが創案、普及させたものだそうです。
三峯神社を最初に訪れたのは25歳のときでした。オオカミ像がたくさんあることに気づきましたが、そのときはまだ狛犬を趣味とするという意識が薄かったため「たくさんいるなあ」で終わりでした。
今回オオカミ像巡りをしてみようと思ったのは、「日本一の狛犬」コーナーにも掲載した
「日本一キュートな眉毛の狛犬」(実はオオカミ)がきっかけでした。
この狛犬(オオカミ)は琴平神社(群馬県多野郡鬼石町)にいますが、鬼石町にまで秩父のオオカミ信仰文化圏が及んでいたことを知り、一度ちゃんとオオカミ巡りをしてみたいと思っていました。
秩父のオオカミについては、外山氏の『神社ウォッチング』に11社のリストが載っています。ここに転載すると、
三峯神社(秩父郡大滝村)9対
両神神社里宮(秩父郡両神村)1対
両神神社奥社(秩父郡両神村)2対(もっとも古い)
城峯神社(秩父郡吉田町)1対
城峯神社(児玉郡神泉村)1対
武甲山御獄神社(秩父郡横瀬町)1対(旧参道に放置状態)
宝登山神社奥社(秩父群長瀞町)1対
両面神社(秩父郡大滝村)1対
椋神社(秩父郡吉田町)1対
釜山神社(秩父郡長瀞町)4対
若御子神社(秩父郡荒川村)2対
だそうです。
また、埼玉県の狛犬に関しては、狛研の常連でもある久保田和幸さんがすばらしい研究をされており、著書『狛犬探訪 埼玉の阿・吽たち』(さきたま出版会)に詳細なデータが掲載されています。
それによれば久保田さんが確認したオオカミのいる秩父周辺の神社は13社。他にも埼玉県内でオオカミがいる神社はいくつかあり、上記の外山さんのリストから漏れている神社としては、
椋神社(皆野町)1対
簑神社(皆野町)1対
猪狩神社(荒川村)1対
龍頭神社(小鹿野町)2対
八幡宮(桶川市)1対
御獄神社(川口市)1対
氷川神社(鴻巣市)1対
氷川神社(さいたま市桜区)3対
岩根神社(長瀞町)1対
武野上神社(長瀞町)1対
……だそうです。
何しろエリアが広く、とても全部は回れませんでしたが、代表的な神社をいくつかチェックしてきましたのでここにリポートします。
この神社、どうも朝鮮半島とのつながりが深いらしくて、狛犬の台座にはこんな文字が刻まれていました。
朝鮮総督府中枢院参議一同……。
昭和16(1941)年といえば、太平洋戦争開戦の年です。狛犬はごく普通のものですが、なにやらいわくありげ。
高麗神社の由来については
→ここなどに詳細な解説があります。やはり朝鮮系渡来人由来の神社なのですね。
隣の聖天院をチェックしなかったのが悔やまれます。
ということは、謎のトーテムポール風のオブジェも、朝鮮にある「ちゃんすん」(民族:村の守り神として村の入り口や道端に立てておく男女一対の木造オブジェ)なのかもしれません。一対ではないですが……。
とにかく、謎の多い神社です。