第3回 小松寅吉・小林和平作品ツアー 5

白河市の郊外、大沼という集落にある八雲神社入り口に、寅吉が彫った灯籠があります。
八雲神社の灯籠
実はこの灯籠、1つは後に倒壊し、別の石工がコピーを彫って再建しています。写真から、どっちが寅吉のオリジナルか分かるでしょうか。
向かって左側  向かって右側
灯籠の銘

この写真からは分からないと思いますが、向かって左側の灯籠が寅吉のオリジナルです。
台座にはご覧の通り「福貴作小松布孝六十五年調刻」とあり、65歳のときの作品であると記しています。この頃はもう、寅吉は自分の石工としての人生がもう長くはないことを悟っていたようです。明治41年10月建立ですが、明治40年に入ると、息子布行との連名の作品が目立つようになります。

この灯籠のすぐ後には、明治28年6月建立の狛犬がありますが、石工名がありません。しかし、借宿新地山入り口の狛犬と同じデザインであることから、やはり寅吉工房で造られたと思われます。
八雲神社の狛犬 吽
■Data:八雲神社(福島県白河市大沼): ο建立年月・明治41(1908)年10月15日。ο石工・福貴作小松布孝
向かって右側の灯籠は倒壊したため、大正11年6月に別の若い石工が彫ったもの。 ο撮影年月日・2004年7月24日。

入方の山中にある石の社殿

白河市入方の山中に、ぽつんと石の社殿が置かれていて、これも寅吉の作品です。
このへんになると、地図に道も載っていないような場所なので、さすがに案内していただかなければ絶対に一生見つけることは不可能ですねえ。
銘は「福貴作寅吉」とだけあります。
寅吉が彫った石の社殿の中ではかなり古いものといえます。この後に紹介する母畑温泉元湯の社殿(明治33年)や、大田原市の西郷神社社殿(明治36年)へと続く作品として興味深いものです。
入方の社殿    社殿の銘
■Data:山の中の名もない社 石の社殿(福島県白河市入方): ο建立年月・明治27(1894)年9月。ο石工・福貴作寅吉
ο撮影年月日・2004年7月24日。

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