第3回 小松寅吉・小林和平作品ツアー 1

2004年は夏までの半年間で、なんと6回も南福島の地へ狛犬探訪に出かけました。
郡山を拠点とした2回の和平狛犬探索はいずれも空振り。
そうこうするうちに、吉田さんから寅吉の新情報なども入ってきたので、6回目は吉田さんに案内していただくことになりました。

雲照寺の三十三観音

吉田さんに案内していただく前日、まだ見ていない雲照寺(栃木県西那須野町)に寅吉父子が残したという三十三観音と、須賀川市郊外にある和平の昭和6年の狛犬を見て回りました。
雲照寺の三十三観音プロジェクトは3年がかりで、寅吉父子の他にも手塚勇治、蜂須賀末吉らが参加しています。
一番如意輪観音から始まり三十三番十一面観音までの33体。その他、番外1~6の6体の観音像。さらには不動明王など6体。50体近い石像がこの寺の境内には置かれています。
こんな感じで↓さまざまな観音像が置かれているのですが、巧拙が激しく、これはどうも弟子の誰かが彫ったのだな、などと想像しながら回るだけでかなり時間がかかります。
       
境内には、ひときわ巨大な石造物があり、それが「準提観音」と呼ばれるもの。
まずその大きさに驚かされます。
準提観音
大きさが分かるよう、隣りに立ってみました↓
準提観音
寅吉の本領を存分に発揮した大作ですね。
あまりの大きさに呆れてしまうのですが、よく見ると、寅吉らしく、細部がこれでもかというくらいていねいに彫られています。
準提観音  準提観音の顔部分  準提観音の下の部分  準提観音の銘
顔はちょっと私の趣味じゃないのですが、とにかく寅吉が残した最大の作品であることは間違いなさそうです。

この巨大な観音の前には、背中に錠前のようなものを載せた犬がいます。狛犬とは違うようですが、実に興味深い犬です。
準提観音の前の犬  準提観音の前の犬
犬といえば、そばの地蔵菩薩の隣りに可愛らしい犬がいます。もしかして、これなどは若き和平が彫ったのでは? などと想像してしまいました。
準提観音そばの犬
この三十三観音を彫ったときの寅吉親子の写真が残っています。
下の写真、法被姿の、いかにも頑固そうなおやじさんが寅吉、隣のちょっと色男風の若者が息子の亀之助です。
寅吉はこの仕事を請けるにあたり、寺の住職(中央)から善現菩薩という生前戒名を授かりました。この住職は後に、京都の仁和寺の住職になったそうです。
寅吉親子の写真
■Data:雲照寺(栃木県西那須野町): ο建立年月・明治35年9月(準提観音)。ο石工・彫刻人 小松布孝
境内には息子の布行をはじめ、複数の石工が彫った石の観音像が多数。
ο撮影年月日・2004年7月23日。

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