第二回 小松寅吉・小林和平作品ツアー 9

この神社には他にも面白いものがたくさんあります。
慶應元年建立の狛犬の他、石灯籠や小さな石造りの社などが境内の周囲に点在しており、中には和平の名前が刻まれたものもいくつかあります。
社殿に向かって左側にひときわ大きな石碑が建っていますが、これが和平の作でした。
社殿裏に回ると、実に味わいのあるキツネ、授乳ウサギ、ネコ!などがいます。

まずはこのキツネをご覧ください。
なんとまあ味のある顔をしているんでしょう。昭和2年1月17日建立。
   
   
ウサギもいいですね。子ウサギが乳を飲んでいるんですね。あと、なんだかよく分からないネコ。これらの作者は分かりませんが、この地方が寅吉や和平だけでなく、石工の宝庫であることを物語っています。
和平が作った小さな石の社殿もありました。
明治35年12月。まだ若い頃(21歳)の作。独立したのが明治42年11月ですから、寅吉の工房で修行していたときのものです。
大田原の西郷神社社殿は翌明治36年6月建立。同じ時期に同じ工房内で、師匠寅吉とその息子布行は西郷神社の社殿という超大作を彫り、まだ20代になったばかりの若き和平は、その横でこのミニ社殿を彫っていたのでしょう。
白河新地山入り口の石柵や大田原の西郷神社社殿などには遠く及びませんが、師匠寅吉父子の仕事を横目で見ながら、和平は黙々とこのミニ社殿に鑿をふるったことでしょう。小さい作品ながら、そこに親方から許しを得て、自分の名前を刻めた嬉しさもあったに違いありません。
和平作のミニ社殿  社殿の銘

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