栃木の狛犬(3)


護国神社(栃木市泉川町錦着山公園)


護国神社というのは、大体、面白くないことが多いんですね。狛犬がいてもいわゆる護国系の胸張り狛犬。パスしようかと思ったんですが、念のためチェックしたら……これが大収穫。本日のハイライトとなりました。
護国神社 護国神社 阿
↑いきなり、こ~んなのが出迎えるんですよ。思わず、「おおっ」と、心の中で叫びました。
護国 阿

獅子山で、子獅子が3匹。いずれも山の下に落とされていて、山の上に親獅子が構えているという図です。
例の、獅子は我が子を谷底に落として、這い上がってきた子供だけ育てるという妙な訓話?からきているわけですが、この神社は、狛犬だけではなく、あらゆるところに戦時色が濃厚で、戦前の日本の精神風土をうかがい知ることができます。
 護国 阿
狛犬の造形は普通ですが、技術的には非常に高いもので、細部に渡るまでうまくできています。
阿像が雄、吽像が雌で、股間にきちんとシンボルの有無が確認できます。
狛犬は、特に阿像の山が面白いですね。子供は1匹で、谷底で腹を出してひっくり返っています。その子供を見下ろす親の顔が怖いこと怖いこと。
護国 阿 護国 子
こんな顔で睨まれたら、泣いちゃいますねえ。
↓親の位置から子供を見下ろしてみると、こんな光景になります。
子
 錨 慰霊塔 
↑慰霊塔の中は納骨堂になっているようで、たくさんの戦死者の名前が刻まれていました。錨の慰霊碑は海軍関係者が奉納したものでしょう。狛犬の奉納者も軍人関連で埋め尽くされていました。
同期の桜
護国 両方
で、今はその神社の境内を、子供が走り回るという平和な光景。なんとなく感慨深い絵です。
■Data:護国神社(栃木県栃木市泉川町錦着山公園)ο建立年:昭和13(1938)年8月。ο奉納者:帝国在郷軍人会栃木市総合分会長 渡辺萬士 他多数。ο石工:彫師 関澤眞 桓蔵 須藤由造。ο撮影年月・02年6月1日。


次へ次の「栃木周辺の狛犬」へ


▲北関東の狛犬目次TOPへ


HOMEへ 狛犬ネット入口目次へ



狛犬ネット売店へ
狛犬ネット売店

『神の鑿』『狛犬ガイドブック』『日本狛犬図鑑』など、狛犬の本は狛犬ネット売店で⇒こちらです



『狛犬かがみ』はAmazonで購入できます