よくある大量生産型のキツネは、眉間にしわを寄せたような険しい顔をしています。いかめしい顔の狛犬はそれなりに風格も出るのですが、体も顔も細いキツネが険しい顔をしているのを見ると、なんかこっちまで不景気な気分になります。
しかし、たまに「笑うキツネ」と出逢うことがあります。これは珍しいキツネなので、「福狐」とでも名づけ、大切にしましょう。期せずして笑うキツネと出逢えたら、ささやかな幸福があなたに訪れる前兆です。(あくまでも「ささやかな」幸福ですのであしからず)
▲上:新潟県柏崎市豊川神社にいるおかま狐。昭和7年建立。石工・赤澤治、寄進・小山泉司。
▲ここまでニコニコしていれば言うことなし……?
ついでに、笑わないキツネ……というよりは、日本一ふてくされているキツネもご覧ください。このキツネ、相棒もなく、小さな稲荷社のそばで、草むらに隠れるように傾いて座っています。これほど世をすねたキツネを、私は他に知りません。