2003年版 甲斐路に江戸狛犬を訊ねる その1

山梨県の狛犬といえば、まっ先に思い浮かべるのが穂見神社の木製狛犬です。
私が狛犬巡りを始めるきっかけとなった記念すべき狛犬。
しかし、その他は大発見というようなものもなく、むしろ、つまらない狛犬、へたくそな狛犬が多い「狛犬不作地帯」という認識も形成され始めていました。

今回の甲斐路探訪は、2つの目的がありました。
ひとつは、「最古の国産石造り狛犬」かもしれない三珠町熊野神社の狛犬を直に見ること。
現在、国内の石造り狛犬で最も古いのは東大寺南大門の裏にある獅子で、建久7年(1196)と言われています。
しかしこれは、中国の石工によって中国の石で作られたと伝えられていて、純粋な意味での「国産狛犬」とは言い難いでしょう。形も、阿吽になっておらず、日本の「こまいぬ」というよりは、中国獅子と言えます。
となると、日本人が日本の石で作った「純国産石造り狛犬」は別にあるのかもしれません。

このロマンに最初の一石を投じたのは岐阜の大須赤門氏。高山市の賀茂神社には弘仁年間(810年〜)と伝えられる石造り狛犬があるというのですね。
その「幻の日本最古の狛犬」の真偽を確かめるべく二度の飛騨路遠征を行った記録はこちらにありますので、まだ見ていないかたは「飛騨路に幻の日本最古石造り狛犬を訪ねる」編から見てください。

さて、今回は三珠町の「応永12年」の銘がある狛犬です。
1405年ですから、関ヶ原の戦いより200年近く前。本当だとしたら大変なものです。なにしろ、石造り狛犬が盛んに造られるようになったのは江戸時代からなのですから。
この情報はインターネットで検索していて見つけたものです。三珠町の役場にもメールで確認しました。行けば普通に見られるんでしょうかと。

その情報を入手した頃、ちょうど「甲斐の神社.COM」というサイトを知りまして、運営者の黒御簾さんにもこの情報を教えたところ、地元の利で、さっそく取材を敢行。写真を送ってきてくれました。その速報板はこの狛犬ネットでもご紹介しています。(こちら

人任せではいけないので、今回は自分の目で確認しに行こうとというわけです。

もうひとつは、その「甲斐の神社.COM」に紹介されている狛犬のうち、江戸期と思われる2対(柳原神社と山神社)を確認することです。
では、前書きが長すぎるのもなんですので、さっそくまいりましょう。

国立神社

国立神社の狛犬
スタートは一宮御坂ICから。
朝が弱いので、すでに午前11時でありました。
山梨にはこのタイプの狛犬が多いですね。頭でっかちで岡崎現代型にも通じるようなデザイン。
尻尾は、この地区のものはくるっと巻いて、穴が空いているのが特徴のようです。
■Data:国立神社(山梨県東八代郡御坂町井之上):
ο建立年月・昭和18(1943)年10月。
ο撮影年月日・03年5月23日。

成田熊野神社

弓道場

境内に隣接して弓道場が併設されていました。このへんでは盛んなようです。
狛犬はやはり甲斐タイプ。
成田熊野神社の狛犬

頭でっかちで、手足が貧弱。尻尾はくるんと巻いていて、真ん中は穴……というのがこのへんの狛犬のお約束になっているようです。
■Data:成田熊野神社(山梨県御坂町成田):
ο建立年月・昭和11(1936)年1月。
ο撮影年月日・03年5月23。

美和神社

美和神社の狛犬
ここも同じ形。同じ顔。作者名が刻まれていませんが、同時期なので同一の石工かもしれませんね。
■Data:美和神社(山梨県東八代郡御坂町二之宮):
ο建立年月・昭和12(1937)年8月。ο奉納・雨宮勇吉。
ο撮影年月日・03年5月23日。

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