狛犬データベース化計画その5

 ■第4版からの修正点

1)神社名表記の仕方を一部元に戻した(括弧書きでの表記について)。
2)年号、月日関連の算用数字を半角二桁に統一した。(検索・整列をかけやすいように)
3)項目名を一部変更・統一した。
雛形その5
市区町村コード 02341
神社コード 036-134101
狛犬の数 01
狛犬番地 036-13410101
住所 青森県中津軽郡岩木町宮地
神社名 羽黒神社(羽黒山神社)
神社名ふりがな はぐろじんじゃ(はぐろさんじんじゃ)
建立年月日 明治20年06月02日
建立年の西暦 1888
作者 山内三次郎
寄進者 宮地村若社中 三上藤吉・宇三郎 他3名
素材
大きさ
記録年月日 97/07/19
分類 オリジナル?
一言コメント 八幡宮参道前の「犬顔」狛犬と同一作者。どちらも非常にユニーク。作家系のはしりか?
記録者 鐸木能光


■解説■
 

●データはCSVファイルで


 データの基本はCSVファイルとします。
 CSVというのは、各データ項目を半角のカンマ(,)で区切り、次のデータとの間は改行で区切るという形式のテキストファイルです。つまり、パソコンがなくてもワープロでも作成可能です。
 この形式ですと、OSに関係なく、あらゆるデータベースソフトに読み込むことができます。将来、複数の方々の報告を統合させる場合、Aさんはエクセルで、Bさんはアクセスで、Cさんは桐のバージョン5で……などということになると、データの結合や共有が極めて困難になります。各人がどのようなデータベースソフトを使うかは自由ですが、公に提供する形としてはCSV以外には考えられません。
 上の表をCSVにするとこうなります。

市区町村コード,神社コード,狛犬の数,狛犬番地,住所,神社名,神社名ふりがな,建立年月日,建立年(西暦),作者,寄進者,素材,大きさ,記録年月日,分類,一言コメント,記録者
02341,036-134101,01,036-13410101,青森県中津軽郡岩木町宮地,羽黒神社(羽黒山神社),はぐろじんじゃ(はぐろさんじんじゃ),明治20年6月2日,1888,弘前石工 山内三次郎,宮地村若社中 三上藤吉・宇三郎 他3名,石,中,97/7/19,オリジナル?,八幡宮参道前と同じ作者,鐸木能光



 ◆注意◆ CSVファイルのいちばん上の行には、必ず項目名を入れます。
 

●市区町村コードについて


 市区町村コードというのは、通商産業省工業技術院が日本工業規格(JIS)として1970年4月1日に官報告示したもので、全国の都道府県・市区町村にふられたこのコード番号は、役所が発表する統計資料などに利用され、基本的にはすべてこの順番によって整列されているそうです。
 コードは5桁で表され、その構成は、最初の2桁が都道府県、次の1桁が郡または市、下2桁が各市町村固有の識別コードとなっています。
 神社番号や狛犬番地には7桁郵便番号を利用していますが、調査のときに神社の正確な住所が記録できない場合も多いし、郵便番号での神社番号特定は膨大な時間と労力を要します。また、郵便番号は北から順番に振られているわけではないので、ソートしたときに地理的順番で並んでくれません。そこで、このJISコードを併用することにしました。
 このコードの最初の2ケタは都道府県を表すわけですが、北海道は01、沖縄県は47で、北から順番に並びます。  3ケタ目は郡か市を表わしています。つまり、

         3ケタ目が1なら東京都23区および政令指定都市
              2なら市
              3以上は郡か町か村

 新郵便番号と市区町村コードを一覧できるCSVファイルをご希望の方は、http://nanja.nbj.co.jp/takuki/zipjis.lzh からダウンロードしてください。
 

●各項目記入注意事項


狛犬データベースサンプル
市区町村コード 02341
 ↑すでに説明しましたように、このコードでソートすると北から順番に並ぶので、いちばん美しい結果が得られるように思います。この項目に限らず、数字のみを入れる項目は必ず算用数字1バイト文字(俗に言う半角文字)にします。
神社コード 036-134101
 ↑新郵便番号に二桁数字を01から加えていきます。この作業は膨大な労力を必要としますので、とりあえずはほぼ正確と思われる神社住所の当該郵便番号に01を加えたものを入力していってください。同一郵便番号地域内に複数の神社がある場合は、住所の若い順(あるいは郵便番号簿に記載されている地域名の若い順)に01、02、03……と振る予定です。
 神社以外の場合、寺は50から、その他(路上や山頂など)は80から振ります。これによって、新たな項目を設けずとも、寺の狛犬、単独の狛犬の検索・集計が可能になります。
 
神社名 羽黒神社(羽黒山神社)
 ↑神社の名前は別名があることが多いので、その場合、全角括弧を使って併記します。
 その他、隣接区域に同名の神社が多く、町名を入れて区別したい場合なども、全角括弧を使用してください。
 同一郵便番号エリア内に万一同名の神社が複数存在する場合は、半角括弧と半角数字で「羽黒神社(1)」のように表記して区別します。
 また、神社ではない場所に狛犬がいる場合も多々ありますが、その場合は、「○○山頂」、「○○町▲丁目路地脇」など、分かりやすく簡潔に表記します。お寺の場合は、もちろん寺院の名前がここに入ります。
神社名ふりがな はぐろじんじゃ(はぐろさんじんじゃ)
 ↑前項「神社の名前」のふりがなです。平仮名で。
狛犬番地 036-13410101
 ↑狛犬さんのいる場所のコードです。神社番号の末尾にさらに2桁加えた11桁(ハイフンを入れると12桁)になります。末尾の番号は原則として一の鳥居側から順番に振ります。1対しかいない場合は01となります。1体しかいない場合も01となりますが、その場合は備考欄などに明記してください。
 狛犬が参道入口にいて、それが山の麓にある(極端な例としては神社の本殿から数キロ離れている)場合なども、その参道が続いている先の神社に帰属するものとし、神社番号に基づいて番地を振ります。神社と狛犬の場所が別の郵便番号になるような極端な場合は、住所欄には狛犬の所在地を記入し、終わりに( )付きで(神社とは別住所)などと書き込みます。
 なお、「狛犬コード」「狛犬番号」などの名称は、狛犬さんに対して失礼ではないかということで、敢えて「狛犬の場所を示すコード」という意味の「狛犬番地」としました。
建立年月日 明治20年06月02日
 ↑建立年月日は和暦で書き込みます。台座の銘がほぼ100パーセント和暦であることから、正確を期して和暦表示にします(古いものは陰暦で記されている場合が多く、正確な西洋暦への変換はかなり難しいです)。また、「昭和の狛犬」「明治年間の狛犬」といった検索をかけたいときにも、和暦のほうが便利です。和暦は必ず2バイト文字×2で表されるので、最初の全角3文字分は検出で桁が揃います。
 数字は検索しやすいように算用数字(半角1バイト文字)に直します。また、一桁年号は「明治01年」というようにして桁数を揃えます。「元年」とあるものは「01年」に直します。月日以下はそれほど重要ではないので、逆に辰巳など、台座に刻まれているままを記したほうが、個別の検証に役立つと思われます。
 ○月吉日などという表記のものについても、そのまま書いてもいいですし、月だけでもOKです。「旧八月十五日」などと書いてあるものもありますが、これはそのまま「旧8月15日」でも「08月15日」でもOKとします。要するに「年」以下の検索は半分諦めます。
 年号まで特定できない場合は、「慶長年間(伝)」「明治末期〜大正?」のようにします。この場合も、必ず先頭文字を年号にします(そうしないと検索から漏れてしまうので)。
 この項目は不明、未確認のケースも多々あるでしょう。台座に表記がない、あるいはまったく読みとれない場合は「不明」、台座の銘などを確認しなかった場合は「未確認」と記入します。これは石工や寄進関係などについても同様です。
建立年(西暦) 1888
 ↑建立年月日の西暦表示ですが、西暦と和暦では月によって年号がずれる場合があり、正確なデータにはなりにくいので、あくまでも目安です。数字は検索しやすいように算用数字(半角1バイト文字)で記入し、「年」は省略します。10世紀以前の狛犬の建立年度を特定できるとは思えませんが、できるとすれば、999年以前のものは頭に0をつけて「0899」のようにします。
 前項が「不明」や「未確認」の場合、未記入で結構です。(その場合、CSVファイルはカンマが連続して入力されます)  
作者 山内三次郎
 ↑基本的にはその狛犬を刻んだ石工の名ですが、石工名は必ずしもその狛犬を刻んだ石工本人ではなく、石屋の親方の名前であることも多いようです。そうしたケースを推測するためにも、この欄はなるべく書いてあるままに記録してください。「○○町 石工 山田寅吉」のように町名が入っていたり、「石工石佐」というような表記であったり、「山田寅吉作、石井松之助製作」のように分担が併記されているものなどさまざまですが、極力、記されている通りに記録します。
寄進者 宮地村若社中 三上藤吉・宇三郎 他3名
 ↑ここはあまりにも多すぎて書ききれない場合もあると思います。適当に省略しても仕方ないでしょう。寄進、願主、奉納、寄贈、などいろいろな表現で記されていますが、その文句を正確に記すかどうかは記録者に任せます。
 台座に大きく名前だけ記されている場合は、石工ではなく寄贈者の名前であることがほとんどです。
素材
 ↑先頭の文字は「石」、「陶」(器)、「木」、「セ」(メント)、「ブ」(ロンズ)で始めてください。他にある場合(ガラス、プラスチック、土、紙など)はご報告ください。
 本当は「安山岩」「花崗岩」あるいは「小松石」など、正確に記したいのですが、石の専門家でも古くなって苔むした石の判定は難しいので、最悪の場合、単に「石」「陶器」「木彫り」などとしてもかまわないと思います。
明らかに種類が特定できるものも、「石(小松石)」「陶(備前焼)」のように表記します(項目の先頭文字でヒットさせ、種類別の統計を取りやすいように)。
大きさ
 ↑もちろん正確に「高さ○センチ」などとしてもいいのですが、それは無理でしょうから、大まかに特大・大・中・小・極小の5つに分けてみました。メインは大中小の3つで、大は目測で高さが1メートルを超えるもの。中は50センチから1メートル程度。小は50センチ以下。一目見て、呆れるほどでかいものは「特大」、簡単に盗めそうなくらい(汗)ちいさいものは「極小」。
記録年月日 97/07/19
 ↑その狛犬を撮影した(記録した)日を、半角数字と半角スラッシュで。これは西暦で。年や月だけ分かっている場合は、「97/xx/xx」「97/07/xx」などとします。
分類 オリジナル?
 ↑ここは非常に難しいと思います。いわゆる「円丈分類」でも、「江戸はじめ」「昭和」などはある程度分かりますが、それ以上はなかなか判別できないでしょうし、また、分類方法は個人によって差があってしかるべきだとも思います。とりあえずは各自のやりかたでかまわないということにしないと、無理が出てきそうです。自分以外の研究者の分類法は、なんとなく推し量って想像するしかないですね。
 基本的なものは、順次、会として表記を統一していければいいなとは思っています。
一言コメント 八幡宮参道前の「犬顔」狛犬と同一作者。どちらも非常にユニーク。作家系のはしりか?
 ↑印象やメモしておきたいことを短めに。なんでも結構。上記の各欄に書けない特殊事情などもここに書いてください。
記録者 鐸木能光
 ↑最後に記録者の名前を入れます。これを入れないと、データを併合したとき、誰が提供したものか分からなくなりますので必須です。表記は統一してください。(つまりデータによって、「山田庸治」「やまだ」「山田」「Y.Yamada」「やまちゃん」などまちまちというのは同一人物であると特定できないので困ります。


 以上がデータベースのたたき台その5です。
 神社単位のデータベースはこれを元にして(同じ神社コードを並べたものを項目として併合させるなどして)データベースソフトとして作り、そこに追加したい項目を入れていけばできますが、元データであるこちらにどうしても入れておきたい重要項目が抜けていると思われるかた、他にいいアイデアがあるかた、は狛犬掲示板に書き込んでいただけると助かります。

1999/02/19 鐸木能光 記
たたき台その1を見る
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